【レビュー】Wanted: Dead

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ー「このゲームはまともじゃない」ー

これが筆者の第一印象である。なぜならゲーム全体のバランスがどう考えてもおかしいからである。

5つもあるミニゲームはどれも力が入っているし拠点である警察署での探索もゲームが進むごとに人物やセリフも逐一変化する。しかもフルボイス。モデリングはかなり残念なのが欠点だが。ムービーもかなりの頻度で挿入され、主人公のストーンの回想シーンではなんと日本風のアニメーションで表現される拘りよう。

それでは本編のアクションシーンはどうだろう。
簡素なスキルツリー。種類の少ないコンボ。扱う装備も刀、ハンドガン、銃、グレネードとかなり少ない。銃は道中である程度の種類が拾えるのでまだましだが。しかし開発を元ニンジャガスタッフのソレイユが担当しているだけあってアクション自体は高難易度ながら結構面白い。
しかしやはりどうしてもボリューム不足は否めない。駆け足で遊んだら総プレイ時間は上手い人なら初見でも10時間を切るかもしれない。

なぜこんなアンバランスなゲーム設計になっているかというと、そもそもアクションが本編ではなくストーンが自分の所属する「ゾンビ部隊」でどんな人生を過ごしたかを追体験するという部分が本編だからだ。
なので、アクションが高難易度なのは死刑囚としていいようにこき使われている表現であり、ミニゲームや警察署の探索やムービーが充実しているのは死と隣り合わせの任務の厳しさを引き立てるためだろう。ストーリーが説明不足で謎が多いのは実際にストーンも知らない事だらけだから。読めばある程度察することが出来る位の情報はあるのが救いか。

なんというソレイユの無駄遣い。商売という観点から見ても正気とは思えない発想である。実は作り手がやりたい事を詰め込んだだけなのかもしれないとすら思える。
しかし、この設計のおかげでこのゲームは確かに独特の魅力を放っている。好き嫌いは置いておいてだ。

もしこのゲームがミニゲームや探索、ムービーなどに力を入れずにアクション部分に開発リソースの大半をかけたなら、もっと万人受けする良いゲームになったかもしれないし、結構面白いゲームになっていたかもしれない。
しかし、このゲームが現在持っている魅力の半分は失われるだろうし、ここまで記憶に残る個性的なゲーム体験にはなっていなかったのは間違いないと思う。

大事な点として、アクションシーンは頭が吹っ飛び手足が千切れる過激な残虐表現があり、カメラ挙動は劣悪であることも付け加えておきたい。

一見歪に見える妖しげな魅力を持つ本作。このゲームに興味を持ち、このレビューを読んでしまった「まともじゃない」体験をお求めのあなたにはぜひお勧めしたい珍品なのです。

 

【レビュー評価 7/10 Good!】

カメラ 2
ボリューム 4
アクション 8
残虐表現
9

【レビュー動画(ずんだもん)】

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