このゲームはとにかく原作に拘って作られている。
建物からオブジェクトから演出からストーリーから、出来るだけ原作から引用している。ロボコップは育成すれば原作同様めちゃくちゃ強いし、相棒のルイスは出てくるし、舞台はデトロイトだし、オムニ社は出てくるし、ED209もちゃんと出てくる。
世界は間違いなくロボコップの世界なのだ。
しかし、肝心のストーリーはゲームオリジナル。時系列は原作の2と3の間らしい。出てくる人物も当然オリジナルが多い。これは果たして映画のゲーム化と言えるのだろうか?
正直、「面白ければ何でもいい」と言うのが多くのプレイヤーの本音かもしれないが、なんとこのゲームはその一番尊重するべき面白さすら犠牲にしている節があるのだ。
例えばサブイベントで度々「奉仕と保護」というものがあるが、その中で、違反駐車している車に切符を切るというのをやらされる。
ロボコップが駐禁を取り締まるのは絵面としては面白いのかもしれないが、いちいち違反しているを車を探すのをどれだけの人が楽しんでいるのだろう。
しかしロボコップが警官である以上、駐禁を切れないのはおかしいし、原作のデトロイトが一切駐禁してない街であるのも不自然だ。開発者も自信が無かった様で、サブイベント等で本来必要のない戦闘を度々挟んでいる。ゲーム後半は特に顕著で戦闘がかなり多い。
せっかくゲームオリジナルのストーリーにしてあるのに戦闘メインは非常に勿体ない。
例えばロボコップの精神や感情は崩壊せずに人間の時のままでいられるのかとか、副作用や拒絶反応は本当にないのかとか、痛みはどこにどこまで感じるのか、スポーツは出来るのか、性別は何か、人間がロボになれる確率など、ロボコップの世界ならもっと色々描いても良いはず。
メインにしている戦闘が結構面白ければまだいいのだが、残念ながら普通のFPSの域を出ていないと思う。
はっきり言って原作映画のロボコップ1を見ていない人にはお勧めしにくい作品。
予算の都合か、マーフィーがロボコップになる過程をばっさりカットしているのも原作未視聴の人には非常にお勧めしにくい点。その位原作のロボコップ1が面白く、原作補正がかかるゲームだと思う。このゲームがロボコップ原作じゃなかったら間違いなくやっていないだろう。
それなりに楽しめるし、原作を大事にして頑張って作り込んだという点ではかなりレベルの高い作品。実際、「映画のゲーム化」には成功しているし、その為にはある程度ゲームの面白さや表現が犠牲になるのは仕方がないのかもしれない。
それでも「原作再現しつつ、出来るだけ面白いゲームがしたい」と思う我儘なゲーマーでいたいと筆者は思います。
マーフィーの描写不足 | 3 |
ストーリー | 5 |
価格 | 10 |
映画のゲーム化 | 9 |
Protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.
まだコメントがありません。