【レビュー】ALAN WAKE

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ー「理屈や解釈はゲームには必要」ー

「私は全くモテませんが、去年彼女が500人いました。」「去年、地球の半分は私の物でした。」「私…10回ほど死んだことがあるんです。」謎はいくらでも作れる。
私は謎は好きだし、謎を残したまま終わる話ももちろん好きだ。かの有名なスティーヴン・キングは言ったらしい。「悪夢に理屈や解釈は無用」。これはその通りだと思う。ではこのゲームではどうか。

敵が何で襲ってくるのかは謎、主人公のアランがなぜ人をいきなり殴るのかも謎、妻のアリスが暗闇が怖いのも謎、なぜ敵が光に弱いのかも謎、なんでそこらに転がっているライトに闇を払う力があるのかも謎、なんでそこらに原稿が散らばっているのかも謎…もはや謎の大渋滞である。ホラーだからといって何をしてもいいわけでもないし、そもそもこのゲームはホラーゲームではないと思う。そしてこのゲームを遊んでいて怖いと思った事はほぼない。
「多くの謎が、恐怖として機能していない」と言うのがクリアまで遊んだ筆者の感想である。謎が本当にただの謎のまま終わる。謎のままでもいいけど、せめてその理由位は教えて欲しい。
戦闘はやたら多い割には敵の種類、攻撃パターンも少なく、単調この上ない。敵の倒し方もライトを当てて、闇を払って銃で倒す。ほぼこれ一辺倒なのでバトルを期待して遊ぶのは無理があるだろう。シナリオも前述したように謎だらけで、結局なんだったのか分からずじまい。

じゃあつまらないゲームなのかと言うと、意外とそうでもない。
戦闘は銃で撃つ気持ち良さをしっかり表現しているし、現実の山を参考にしたかのような作り込まれたマップ、エピソード終了時には毎回専用曲が流れ、なんと海外ドラマ風の次回予告まで流れるこだわりよう。ラジオは内容はやっぱり謎だが作り込まれているし、そこらに置かれているテレビでは専用番組がなんと実写で作ってある力の入りよう。
遊びの部分はかなり物足りないが、クリエイターの表現のゲーム化としては満点なのかもしれない。
敵の攻撃をきわどいタイミングで回避するとスローになるが、その他の効果は全くない。発煙筒を敵が周りにいる時に使うと、勝手にアークショット(カメラが被写体の周囲を円を描くように移動)するが意味は全くない。これらがこのゲームがどんなものかをよく表していると思う。

都合よく謎を利用して、自分が表現したいものを全力で作っている本作。セール時にはいつも100円台で売られている様なので、一度遊んでみて本作のクリエイター魂を感じてみるのも良いかもしれない。

 

【レビュー評価 6.5/10】

分からない事多すぎ 3
戦闘 3
クリエイターの個性 9
世界観 9

【レビュー動画(ずんだもん)】

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